11日~名取市ゆりあげ港朝市へ
Gold Wingでは毎月11日に被災地に寄り添い、あの日を忘れないという思いを込めて記事をアップしていきます。
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2011年3月12日の朝刊。震災翌日、避難所へも届けられた新聞です。改めて一面を見ると、写真は「11日午後4時8分、名取市」とあります。
「忘れないあの日 震災と復興の歩み【宮城編】」(河北新報ONLINE news 2016年3月4日)
ここで30年前から開かれてきた「ゆりあげ港(みなと)朝市」は、震災の日を境に消えてしまったかと思われました。しかし、ゆりあげ港朝市協同組合は、震災後わずか2週間で商業施設の駐車場で再開、仮設店舗を経て2年2ヶ月後には現地再建を果たしました。そして、「家族に前に進む姿を見せる」「頑張る人がいるということを被災者の方々にも知って欲しい」と困難を乗り越え、仮設ではなく本設で営業を開始した、最初の商業施設となったのです。「津波で全壊した宮城・閖上名物『ゆりあげ港朝市』が復活! 新たな挑戦を始めた朝市組合員の心意気とは」(現代ビジネス 2013年5月15日)
今、ゆりあげ港朝市は、かつての賑わいを超えるほどの人気と聞きました。休憩できる建物などをつくり、滞在時間を延ばしてもらい、朝ごはん、昼ごはんを食べて帰ってもらえるような新拠点にしたことが成功のきっかけだったといいます。ミシュランガイド三ツ星の高級寿司店に「閖上産だけを使う」と言われた赤貝も復活したと聞いて、訪ねてみることにしました。
県道のかさ上げや護岸工事の間をぬうように車を走らせ、閖上港を目指します。雑草が生い茂る平地の一角に車を停め、はじめに「閖上の記憶 “Memoire de Yuriage”」を訪ね、犠牲となった閖上中学校の生徒の名を刻んだ碑に手を触れました。それから、慰霊塔に手を合わせ、朝市へと歩いて行きました。
約50軒の店が並ぶ朝市に足を踏み入れると、周囲の静けさとは対照的に、威勢のよい掛け声が飛び交っています。新鮮な海の幸や地場産の野菜、果物、肉、お菓子、パン、花や苗、味噌、刃物などさまざまなものが売られています。名物のホッキ飯や新鮮な魚介を使ったミニ海鮮丼、キムチを自分で山盛りにできる水餃子もあります。炉端焼きコーナーでは家族連れなどが買った魚介や手作り笹かまぼこなどを焼いて食べています。「うまいよお~」の声につられて、ついあちこちの店で買ったり食べたりしてしまいました。ここで過ごし、買い物をすることは頑張っている方々への応援にもなると思うと、楽しさが倍増するように感じられました。(名取市観光物産協会 店舗レイアウト図も)
朝市の店舗の奥の方には東北友好記念館「メイプル館」があります。メイプル館と朝市の2つの水産棟は、カナダ政府とカナダ林産業界の支援でカナダ産木材を使用して建設されました。「ゆりあげ港朝市にカナダとの友好記念館」(ココロプレス 2013年5月21日)
一角にある大型液晶画面には震災直後のニュース映像が映し出され、じっと見入る人の姿がありました。当初は、「思い出したくない」と言って映写に反対する声もあったそうです。しかし、「全国から義援金や復興税で応援していただいた。自分たちにできるお礼は、同じ津波が来た時にできるだけ生き残る人を増やすことだ」と放映を決めたそうです。
メイプル館は朝市のない平日も営業しているので(月~土10:00~16:00、日・祝日6:00~13:00、木曜日休み)、観光や被災地の見学に訪れた方が立ち寄れる場所になっています。食事は赤貝の握りや海鮮丼はもちろん、和食、中華粥や中華麺、カフェなど多彩なメニューから楽しむことができます。
現地でもう一度魅力ある閖上をつくっていきたいという市の方針で、この秋にはかさ上げ工事が始まる名取市閖上地区。海産物や野菜を持って車に戻る道すがら、改めて周囲をゆっくりと見回しました。転がった縁石、砂にまみれた点字ブロック。車が停められていた場所は、駐車場などではなく、かつては家族が暮らしていた家の敷地なのでした。さらに目を向けると、あちらこちらに花などがそっと供えられているのでした。
地域の復興を見守っているのであろう魂に心の中で合掌し、帰路につきました。
※こちらに、今回九州地方で起こった地震への主な支援情報などをまとめていますので、ぜひご覧いただければと思います。
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