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アイスショーレポNo.8 ~ ニューイヤーズオンアイスin大阪 ~

今年から始まった新しいアイスショー「ニューイヤーズオンアイス」。大阪のRACTABドーム(旧なみはやドーム)で2日目、1月17日の公演を観てきました。

NYOI

前日の公演をCS生放送で予習して、羽生選手は第2部の最後の最後に登場する、とわかっていたので、ゆったりと落ち着いて開演を待ちます。ふと見渡すと、はるか最上階の客席までびっしりと観客で埋め尽くされていてびっくり。周囲の方たちと、たとえ“注釈つきの見切れ席”でも最前列でラッキーだね♪と喜び合ったのでした。そのときは悲運の席だとは知る由もなく・・・(~_~;)

1日目の公演を観た人によると、今日の客席は昨日よりさらに盛り上がり、スケーターたちもノリノリ♪とのことでした。「レジェンドスケーター、第一線で活躍するトップスケーター、未来のスタースケーターの夢の共演」の呼び声にふさわしく、豪華なメンバー。次々と繰り広げられる華麗な世界に目は釘付けです。特にこの日のジョニー・ウィアーの仮面舞踏会は圧巻!こんなすてきなものを生で観られて、しみじみとスケートファンである幸せをかみしめたのでした。

第1部、そして製氷タイムをはさんで第2部。めくるめくショーはあっという間に終盤を迎え、いよいよトリ。「お待たせいたしました」のアナウンスに、客席の期待が一気に膨らむのがわかります。どよめきの中、羽生選手が登場し、軽くウォーミングアップ。ゆっくりとした口調で流れたナレーションは「本日、1月17日、万感の思いを込めて、滑ります・・・」。万感の思い・・・万感の・・・その意味が胸にすとんと落ちた瞬間、目は羽生選手をとらえながら、涙があふれました。リンクの中央でさっと腕を上げ、振り下ろした瞬間、会場の浮き立つような喧騒はすーーっと消えていきました。

サラ・オレインさんの歌声による「The Final Time Traveler」。聞き慣れたイントロだけど、今日は何かが違う。まるで会場全体が羽生選手とともに呼吸し、感情が揺らぎ、拍手をするのさえ忘れて見入ってしまう、そんな雰囲気です。温かいものに包まれているような不思議な心地よい空間・・・。笑われるかもしれないけれど、最初のジャンプのあと、リンクの端まで滑っていって高く掲げた手を優雅に下ろしたとき、羽生選手の指先から無数の星くずがキラキラと氷上に舞い落ちていくのが確かに見えました。うーーーん、あれは幻だったのだろうか。(;^_^A

寄せては返す波のように私の心は揺れて泣いていました。澄み渡った空気感の中で、彼は何を伝えようとしていたんだろう。どんどん心が浄化され洗われていくような・・・心の中の重いものが軽く穏やかになっていくような・・・。

帰宅後にインタビュー記事を読んでハッとしました。「自分の演技を見て皆さんが何かを思い出すきっかけであったり、また、何かを始めるきっかけであったり、そういいものになれたらいいなというふうに思っていました」

21年前、生まれたてのわが子を抱いて産院から帰宅した翌朝。阪神淡路大震災のあったあの日、実家にいた私は、とっさに赤ちゃんの上に覆いかぶさることしかできず、経験したことのない揺れにただただ怯えていました。余震が繰り返されるとはいえ、夫のいる自宅では食器が少し割れた程度だったし、自分には温かい家もある。ライフラインが止まったわけでもなく日常と何も変わらない生活。しかし、1日たち2日たち時間の経過とともに神戸の惨状が明らかになり、被災地のママや赤ちゃんのために援助を!!と友人たちが立ち上がる中、自分は何もできないと落ち込みました。それでも何か役に立てることはないかと一生懸命考えた日々。あのときのいろんな情景や感情が一気にあふれ出してきました。

人の心を打つスケーティング。羽生選手は全身全霊で、震災に傷ついた方々も含め、きっとすべての人のために滑ってくれたのでしょうね。盛岡のショーが終わったばかりで、ほかにもたくさんの仕事があって疲れているでしょうに、大阪まで来てくれて本当にありがとう!

夢からさめた夢の心境で、ネットの情報を追っていたら・・・。わぉ~!!4ループ跳んでたんですね!! フィナーレで客席がわーーっと盛り上がっていたのは、これだったのね。ちょうど構築物の陰になっていてまったく見えませんでした。会場にいながら4ループを目撃できなかったなんて~。はい、まさに悲運の“注釈つき見切れ席”だったのでした。(ノ◇≦。)    (by sk)

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