11日~気仙沼から防災・減災を伝える
Gold Wingでは毎月11日に被災地に寄り添い、あの日を忘れないという思いを込めて記事をアップしていきます。
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6月12日は、「みやぎ県民防災の日」。宮城県各地で三陸沖を震源とする大規模地震・津波を想定した防災訓練が行われます。
気仙沼市には、震災・防災を伝える展示がいくつかあります。
気仙沼「海の市」の2階シャークミュージアムには「震災の記憶ゾーン」があり、震災の状況や、さだまさしさん・渡辺謙さんら著名人が気仙沼に抱く想いなどを流す20分ほどのVTRも見られます。
また、唐桑半島ビジターセンターには、震災以前から「津波体験館」が併設されていて、東日本大震災後のリニューアルでは、大震災時の映像が追加されました。
今回は、防災・減災を伝える施設から、リアス・アーク美術館と東日本大震災遺構・伝承館の2箇所をご紹介したいと思います。
リアス・アーク美術館には、常設展示「東日本大震災の記録と津波の災害史」があります。リアス・アーク美術館は、主に現代美術を紹介しながら、地域の生活文化を広く見てもらうための歴史民族系常設展示をもつ、総合博物館的な美術館です。
ここには、東日本大震災発生直後より学芸員の方々が記録・調査のために撮影した写真が203点、被災物が155点が収められており、震災直後の街の様子を広く見ることができるものとしては、唯一の場所です。地域を襲った過去の津波に関する資料など137点も展示されており、過去の津波被害や「過去に津波があった地域はまた津波がやってくる」という学び。別展示室では三陸沿岸地域の歴史や文化、人々の暮らしについても知ることができます。(【公式】「気仙沼の魅力をいっぺぇ詰め込んだ観光情報サイト」より)
実際に訪れてみると、学芸員によって資料の収集や展示が行われているという点で、ほかの施設にはない、異なる視点から震災を考えさせられるものとなっていました。
受付でいただいた案内からは、「被害の実態を記録、調査し、復旧して」「防災教育や減災教育のための資料として」また、「災害対策事業等へ」資料提供を行おうという、学芸員さん達のはっきりとした、強い目的意識が伝わってきます。
赤い紙には収集された場所や日時の情報が、白い紙には、物語が記されて、一緒に置かれています。
一つ一つを丁寧に読んでいくと、震災以前の生活や被災者が抱えている思いが胸に迫ります。展示物と文字が、震災の記憶を引き出すための「呼び水」になっているのですね。
このような展示は見たことがありませんでした。
こちらの展示エリアだけは、撮影が許されています。
もう一つの展示、東日本大震災遺構・伝承館は、震災前は宮城県立気仙沼向洋高校の校舎として使われていたところにあります。
地震発生時、1、2年生約170名が部活動等で校内にいましたが、教職員の誘導により校内にいた生徒は全員無事避難できました。また、学校関係者や工事関係者、付近にお住まいの方など51名も北校舎の屋上に避難し助かっています。
気仙沼市ではこの校舎に伝承館を併設し、東日本大震災を伝える施設として一般公開することを決定し、2019年3月10日、「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」がオープンしました。
「自然災害の最新の知見を学び、国内外に発信する人材育成の拠点にー」と元市危機管理監として長年、地域の防災力向上に取り組んできた、伝承館新館長の佐藤健一さんは考えています。(河北新報2021年5月23日)
4階建て2棟が学校だったところ、手前の建物が伝承館です。
受付右手の体験交流スペースでは「おかえりモネ」のポスターが出迎えていました。
記録映像の上映を見てから校舎の3・4階と屋上を見学し、最後にもう1つの映像・展示ゾーンへ向かうという流れになっています。
壊れたベランダの壁は建物がぶつかった跡と知り、驚きます。ここは3階なのです。
(建物外観の写真は「震災を学ぶ・震災から学ぶ施設紹介」公式観光情報サイトより)
リアス・アーク美術館では心の底深くで何かが促されるような感覚を覚えましたが、こちらの旧校舎の中は、柵などは設けられているものの、車などの漂着物は当時の状態。ドアや窓も壊れたままなので、天候によっては、雨や風の中を防寒や傘が必要になり、文字通り肌で空気を感じる見学になります。
伝承館オリジナルの「減災手ぬぐい」は気仙沼のキャラクター、ホヤぼーやが災害への備えをチェックしてくれます。
仮設店舗営業から3月28日にリニューアルオープンした「道の駅大谷海岸」に立ち寄りました。震災前に人気者だったマンボウが目印です。
「道」の駅ですが、JR東日本気仙沼線のRBT(高速バス輸送)の駅でもあります。ランドセル姿の子ども達や地域の方が利用していました。周囲では整備が続いている様子が見て取れます。展望デッキから、海はすぐ目の前。今年の夏は、7月18日から約1カ月間の計画で11年ぶりに大谷海水浴場が開設される見通しとのことです。(三陸新報5月21日)
珍しい白いホヤが入荷していました。地元の野菜のほかに、持ち帰りやすいようにトレイで包装された生魚もあります。
ここにも「おかえりモネ」のポスターが。カフェテリアには鮮魚やふかひれ、地場産品を使ったメニューが豊富にあります。ソフトクリームを食べている人がたくさんいらっしゃいました。はちみつ漬けにしたふかひれの錦糸をトッピングした、プチプチ食感が楽しめるメニューとのことです。
三陸自動車道の大谷海岸ICからは、5、6分ほどのところにあります。鳴瀬奥松島IC以北は無料区間です。
最後は観光案内のようになりましたが、リアス・アーク美術館と伝承館、どちらも防災・減災を伝えながら、全く違う性質をもつ2つの展示を見ることができました。気仙沼を訪れた際にお時間があるようでしたら、ぜひ両方を訪ねてほしいな、と思いました。
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