11日~災害エスノグラフィー~
Gold Wingでは毎月11日に被災地に寄り添い、あの日を忘れないという思いを込めて記事をアップしていきます。
今月は東北在住のメンバーより投稿いただいた記事を紹介させていただきます。
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東日本大震災の後、復旧途上の小学校に入学した1年生が、今度は、新コロナウイルス対策で休校となっている中学校で卒業式を迎える…そんなニュースを耳にしました。
2011年3月、わたしは宮城県沿岸部に学区のある小学校に勤めていました。1年生の担任でした。
揺れが始まり、わたしは「机の下にもぐって!」と言いながら、校庭に出られる戸を開けて避難路を確保しました。
子どもたちはそれまでの訓練通りに、すぐに机の下にもぐって、うずくまりました。
「これは大きい」「ずいぶん長い」と思ううちに、揺れは一旦収まりかけたようでした。
しかし、次の瞬間、「ガラガラッ」と大きな音とともに、さらに強い揺れが襲いました。
足を踏ん張っていても、立っていられない揺れでした。
「こわいよー」「うわあ」と叫び声がします。
「大丈夫」「まだ、じっとしていて」と言いながら、心の中では、建物がつぶれ、下敷きになるのではという恐怖と闘っていました。
揺れ以上に恐ろしかったのは、音でした。
学校全体が揺さぶられ、きしみ、物がぶつかり合う音です。
初めて耳にする轟音を聞きながら、恐ろしさに押しつぶされそうでした。ただただ、揺れが収まることを祈っていたと思います。
テレビは台から落ちてごろんと転がり、教室の高窓は窓枠ごと外れて落ち、ガラスが割れました。
体育館では、天井のむき出しの鉄骨やライトに長年積もっていたほこりが振動で動かされて空中に舞い、卒業式の練習をしていた5・6年生に降り注ぎました。
2階にある体育館の外壁は、1枚が板状のままそっくり落ちてくだけていました。
揺れが収まって、校庭に避難。その直後、雪が降ってきました。
余震がまったくおさまらないので、みんなでずっと寒い校庭に立っているしかなかったのですが、ペンギンの親がブリザードから雛を守るように、上級生が1年生の周りを取り囲んで風よけになってくれていました。
津波の襲来を告げるサイレンが何度も鳴り響きます。
ようやく迎えが来た子どもたちは、喜んで家の人に抱きついたり、安心したのでしょう…急に泣き出したりしました。
日が暮れるころ、やっと安全が確認された建物に入れることになりました。
その後、地域の住人の方が次々と津波から避難してきました。
明かりは、ろうそくやランタン、懐中電灯。教室には石油ストーブが運び込まれました。
次々とやってくる余震の影響で、その日の夜はずっと体が揺れ続けているような感覚でした。
余震の恐怖と寒さに震えながら不安な気持ちで過ごした夜。
突然、ドーン、という爆発音とともに窓ガラスがビリビリと揺れました。仙台新港で火災が起きたのです。
外を見ると、空は真っ赤になっていました。その後もなんどか爆発が起き、そのたびに衝撃波が来ました。
震災の夜は真っ暗で空一面に星が見えたという話を耳にしました。でも、私が見た震災の夜の空は…一晩中、真っ赤でした。
風化への対応は大きな課題、という声が年々増えています。
宮城県の職員も、当時の震災対応を経験していない人が三分の一を占めるようになり、マニュアルだけでは対応がイメージしづらいという声があったそうです。そこで、宮城県防災対策室では当時の様子を知る人の話を録画で記録する、「災害エスノグラフィー」という取り組みを始めたそうです。映像ならば、話の内容はもちろんのこと、表情などから、対応の経緯や感情も伝えられる、というのです。
「震災対応“生の声”をどう伝える? 災害エスノグラフィー(NHKニュース おはよう日本 けさのクローズアップ)」
あの日のことを書くのは、初めてです。それから起こった、たくさんの辛いことを思い出します。自分が経験したことは、周りのみんなも同じように経験したことだろう、と思ってもいました。でも、もしかすると、何か意味があるのかもしれない、そう思えてきました。
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◆3.11企画「いまわたしができること」
本日、3月11日にヤフーで「3.11」を検索すると、ヤフーからおひとりにつき10円が復興支援のために寄付されます。
◆3月11日「#今見せたい東北」を募集します
TOHOKU360 では3月11日、東北に住むみなさんから「今、全国に見せたい東北の風景」の写真を募集します。私達の暮らす身の回りの風景はどう変わったか、変わっていないのか。東北に生きる私達がいま全国の人に知ってほしい風景を、自らの手で発信しませんか。
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3月20日の三陸鉄道 の再開を記念して、Twitterは、ヤフー株式会社と協力し、ハッシュタグをつけてツイートやリツイートするだけで、三陸沿岸地域を応援できる企画「ツイートは誰かの応援になる」取り組みを実施します。
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